Borussia Dortmund × Liverpool
Borussia Dortmund × Liverpool
ヨーロッパリーグも佳境に差し掛かり、遂にベスト4を決する戦いへ。
その中でも、最大の注目を集めるのがボルシア・ドルトムントとリヴァプールのカードであることは間違いないだろう。
ブンデスリーガとプレミアリーグの生き残った1枠同士の戦いであったり、クロップ王のドルトムント帰還であったり、ヌリ・シャヒンダービーなどなど試合前からメディアは大盛り上がりの様子。
というわけで、本日のエントリーはこの一戦を。
1st legをホームで迎えるボルシアの雄。
今季から希代の戦術家トーマス・トゥヘルを招聘し、チーム軸をドルトムントの代名詞であった強度の高いプレッシングからポゼッションに重きを置いたフットボールにシフト。
しかしマヌエル・ペジェグリーニよろしくポゼッション星人と言う訳でもなく、チームの重心を低くする5-4-1等にも着手し、戦術面の幅広さと柔軟さを見せる。
ブンデスリーガでは28戦を終えて勝ち点67と堂々の2位をキープ、王者バイエルン・ミュンヘンを追走(バイエルンが居なければ間違いなく優勝してるよね)
今節はイルカイ・ギュンドアンが足の怪我、ネベン・スボティッチが腕の血栓症で欠場。奇しくもリヴァプールへの移籍が噂される両名の欠場は何かの縁でしょうか。
◆Liverpool
「2試合とも、信じがたい空気の中での試合になるだろう」
そう発言するのはリヴァプールのマネージャー、ユルゲン・クロップ。
2008から2015年まで指揮を執っていた古巣との対戦となり、大きな尊敬の念を払い、包み隠さず正直な気持ちを述べる様はすっかりとThe KOPの心に定着していた。
シーズン途中からの就任という事情もあってプレミアリーグは苦戦に喘ぐ一方で、ヨーロッパリーグでは宿敵マンチェスター・ユナイテッドを蹴落とし8強に進出。
もうお馴染みとなった攻撃的なプレッシング、高速のネガティブトランジションを武器に8万人を超えるジグナル・イドゥナ・パルクに乗り込む英国代表。
チャンピオンズリーグの末席を奪還するべく絶対に譲れない1st legを前にベストメンバーが揃うリヴァプールはブンデスの蜂にどう向き合うのか。
*前半
ドルトムントが4-1-4-1、リヴァプールは4-3-3(4-3-2-1)の布陣で試合は始まる。
序盤から相手陣内深くまで強度の高いプレッシングを仕掛ける双方。
プレッシングに対して無理に繋がず、ロングボールを蹴り込む様も互いに見られた。
そして時間の経過とともにゲームを支配し始めたのはドルトムント。
フンメルスを始め足下の技術に優れる最終ライン、ドイツの超新星ユリアン・ヴァイグルを擁するドルトムントが丁寧にボール保持を続け、時計の針は進んで行く。
トゥヘル指揮官の元でポゼッションフットボールに舵を切ったホームチームと英国1熱い男、クロップが直々に叩き込んだアウェイチームのプレッシングが真っ向からぶつかり合う形が見られて行く。
*トゥヘルのビルドアップとクロップのプレッシング
左から右に攻めるドルトムント。
ドルトムントは基本的に4バックのうち、左SBシュメルツァーを高い位置に押し上げ、フンメルス、ベンダー、ピスチェクの3枚とヴァイグルで菱形を形成する。
それに対しリヴァプールが抑えるべき選手に定めたのはヴァイグル。
後ろ3枚は放置し、1トップのオリギがヴァイグルにピッタリとマンマーク。
コウチーニョとララーナは中央に絞り気味でCHへのパスコース切りを優先。
ピスチェクはワイドに位置取るドゥルムに展開。
左インサイドハーフ、ミルナーがサイドにスライドしボールマンに寄せる。
このときアンカーのジャン、右インサイドハーフのヘンダーソンもスライドし、3センターが連動し適切な距離感を保つ。クロップが就任した当初に敢行していた懐かしの4-3-2-1プレッシングでボールを狩りとる。
これはクロップが就任して間もなく作った画像なんですけど
サイドに誘導し、シャドーとインサイドハーフで挟み込んで奪い取る。
まさにこの通りのプレッシングです。
(人は違ってもシステムが確立されていれば、再現は出来るよね。)
SBをボールの狩り所に設定し、序盤から激しくプレッシングを行うリヴァプール。
しかし、ブンデスリーガの智将には織り込み済みである。
左から右に攻めるドルトムント
オリギは前に飛び出し、ベンダーへプレス。
ベンダーはピスチェクへパス、コウチーニョも連動しプレス。
余裕を持って前を向いたピスチェクは長いパスを選択。
これが通ってしまうと・・・
パス2本で3対3って・・・
バイタルエリアで前を向かせては行けない人物2016、5位のムヒタリアンがドリブルで突撃する事案が発生(ここで失点を覚悟した)
序盤からら激しいプレッシングが効いていたものの、時間の経過と共に何度も何度も簡単にバイタルエリアを明け渡してしまうシーンが増えてきたリヴァプール。
前半、リヴァプールの問題となっていたのがヴァイグル番であるオリギがCBへのプレッシングに行き過ぎた事である。
オリギが必要のないCBへのプレッシングを行う事でヴァイグルが空く→ヴァイグルを捕まえる為にインサイドハーフorアンカーが前に出る→3センターのバランスが崩れプレスが剥がされる。という一連の流れ。
モレノには難しい45分だった。
左SBのポジショニングを守るとインサイドハーフのムヒタリアンが空く(ムヒタリアンのマークはミルナー)
ムヒタリアンに着くと本来のマークであるドゥルムが空いてしまう。
難解な2択を常に迫られていた。
事の発端としてはオリギがヴァイグルを逃がしてしまった事が全てであり、そこからドミノ倒し的にプレッシングが剥がされてしまったのだろう。
良かれと思ったオリギの行動はクロップの要求以上の事だと思うし、その献身性そのものは物凄く評価したいのだけど、敵以上に味方を混乱させる事を招いてしまう上、この舞台のこの相手へのアドリブプレーは危険この上ない事を学ぶ必要があるので
モレノには長州力のように「オリギ!コラ!タコ!コラ!」と一喝してほしい次第。
プレッシングを剥がし、敵陣の侵入が増える圧倒的優勢なドルトムント。
しかし、先にゴールネットを揺らしたのは、赤い戦士達であった。
*クロップの宝刀と教え子の陰
敵陣まで侵入が出来ず、ボールを奪えてもドルトムントのネガティブトランジションが機能していたので、細かいパスが3本と繋げないリヴァプール。
しかし、ドルトムント相手に真っ正面からぶつかり合うとボール狩りにあう事は既に知っているクロップはこの日、ロングボールを多用していた。
この日、ロングボールを使う利点は主に2点。
1.自陣でのボールロスト及びショートカウンターが避けられる。
2.失った陣地を回復する事が出来る&最終ラインを押し上げる事が出来る
蹴り込んだロングボールを収めれば儲け物。また、仮にボールが収まらなくても、そのままゲーゲンプレッシングを開始しショートカウンターを狙う。
大事な事はボールをどこの場所で、どのように失うかである。
敵陣にコントロールの難しい不安定なボールを蹴り込むと同時に、自陣から味方を大量に送り込む。実に合理的でクロップらしい目論見だろう。
この日、1トップに起用されたのはオリギ。
WGでもプレーが可能なスピードと成長中ながらも巧みなポストプレーを持ち合わせるベルギー人FWを中心に、次々とロングボールが蹴り込まれる。
・前を向いている味方に落とす
・相手とは競らずに身体を入れ替え、一気に裏を狙う、
・相手を食いつかせてから頭でのフリックを使い、スペースに味方を走り込ませる
等々ロングボールに対して様々な動きを見せるリバプールの前線。
その結果、約3000人の赤い壁が揺れる事になる。
右から左に攻めるリバプール
ボールホルダーはモレノ。
ドルトムントの陣形が整う前に前線に走るミルナーへ大きく蹴り込む。
ボールを後方のスペースに送り出そうとするミルナーに対し若干、ボールへの反応が遅れるフンメルス。
ミルナーが競り勝ったボールは赤丸のスペースへ転がる。
フリックに抜け出したオリギがシュートを流し込み、リヴァプールが先制点を挙げる。
*ドルトムントの失点に対する検証
ミルナーに競り負けたフンメルス、スピードで振り切られたベンダー、左手1本で制されたピスチェクの3人にも非はある。
ただ個人的な最大の要因はマルセル・シュメルツァーですね。
実はシュメルツァー、モレノがロングボールを蹴る時からミルナーが競るまでほとんど移動していない。
これはミルナーがボールを競り合う瞬間の画像なのだけれど
シュメルツァーはフンメルス(チャレンジ)に対してカバーリングのポジションが全く取れていないんですよね。(ベンダーが正確な位置を取れているから余計に目立つよね)
更に、ドルトムントでは”ボールの無いサイドは中央まで絞る”というものが基本的な原則として敷かれています。この画像でのカストロやロイスはしっかりと絞っているのが何よりの証拠であるが、この鉄の掟を破ると簡単に失点してしまうのがこの舞台の恐ろしさだろう。
オリギが抜け出したシーン
シュメルツァーはオリギが抜け出してから急いでスプリントをしても時すでにオリギもとい、時既に遅し。ということで、この距離は絶対に間に合いませんよという事です。
仮に間に合ったとしても、カバーリングのポジションを取る方が遥かに容易で、CB-SB間のギャップも出来ないので、そっちの方がずっと良い策です。
話が少し逸れますが、12−13シーズン(だったかな)のCLでドルトムントがレアルマドリー相手にサンチャゴ・ベルナベウで2点取ってます。
そして、2点ともロングボールを当てて、フリックパスに抜け出した味方がスペースに攻め込むというシンプルながら非常に効果的な攻撃を見せているのですが、そのドルトムント監督がご存知ユルゲン・クロップです。
低い位置からロングボール→フリックって相当効果的なんですよね。
ポゼッションを握ろうとする相手ってDFライン全体の押し上げとチーム全体がコンパクトであり続ける事が必須になるので、成功すれば一気に相手の密集を抜けれますし、仮に相手にひっかかってもそのままゲーゲンプレッシング敢行して、自分達のラインも上げられますのでローリスクハイリターンな良策です。
それなりの戦力も必要なのでどこのチームでも出来るって訳じゃないのが難点ですけども・・・
クロップはこのフリックパスが大好きです。
ドルトムント時代からアウェイでボールが握れないような試合だとか、押し込まれる展開が事前に予想されるような試合はフリックで抜け出すパターンを大体仕込んでます。もう伝家の宝刀レベルです。
当然この日もオリギに当てたフリックにララーナ(シュメルツァーが見る相手)が抜け出すシーンが散見されていました。
クロップが仕込んだフリックはこんな所にも出てます。
バックステップを踏みながら首を振ってしきりに後方のスペースを見るミルナー。
オリギはベンダーとフンメルスの距離感を広げる為のポジショニング。
ミルナーが後方に抜け出すも、ベンダーがクリアして危機を逃れるドルトムント。
このシーンでもカバーする為には、もう少し距離感を縮めた方がいいだろうし、ララーナが競り勝ってから走り出したシュメルツァーの絞りの甘さは2nd legでも執拗に狙われることになると予想してます。
*ドルトムントの遅効と終着点
先制点を取ったリヴァプール、だが徐々にプレッシングを攻略される時間が増える。
危険を感じたリヴァプールは素直に自陣にリトリート。
4−1−4−1で守備ブロックを形成し、ドルトムントを迎え撃つ。
また1トップのオリギはCB放置でヴァイグルへのマークを優先していた。
相手を押し込み敵陣でのプレー時間が増えるドルトムント。
こうなると試合の流れは一気にトゥヘルが掴むことになる。
なぜなら今季のドルトムントは引いた相手を崩す事に関しては欧州随一なのだから。
*ドルトムントの可変式セットオフェンス
1トップのオーバメヤンは基本的にCBと駆け引きを行い、最終ラインを引き下げる。
左SBシュメルツァーと右SHドゥルムはワイドの高い位置に張る事でリヴァプールの守備ブロックを横に広げる。
そしてロイスとムヒタリアンはアンカー脇に絞る。
またカストロはフリーマン的に動き回る役割である。
この日、ドルトムントの攻撃はフンメルスから始まり、ロイスやオーバメヤンを経由、ヴァイグルに前を向かせ、ムヒタリアンに良質なパスを送り込む事が最終目標となっていた。
そして攻撃の出発点となるCBがフリーと言う事はティガー戦車、フンメルス砲のお出ましである。
左から右に攻めるドルトムント
ベンダーがキープし、リヴァプールの守備ブロック全体を右サイドにスライドさせてから、フリーのフンメルスが楔のコースを探す。
フンメルスから低く下りたオーバメヤンへ、オーバメヤンは前を向いているヴァイグルに落とし、アンカー脇のムヒタリアンへ展開。
(オーバメヤンが潰されないよう、CBをピン留めしてるロイスが効いてますね)
本来、コウチーニョが中へ絞って対応するべきなのですが、ワイドに張ってるドゥルムが気になるのか、十分に絞れずにムヒタリアンへ通されてしまうリヴァプール。
ヴァイグルの縦パスからムヒタリアンの間受けが発動。
ここで上手かったのが、パスを受ける身体の向き。
直前に身体を開いて右足インサイドでコントロールしたため、前を向いた状態でバイタルエリアに突撃出来る訳ですね。
パスを受ける身体の向き、パスを受ける左右足の選択、ボールをコントロールする足の部位、ボールの置き所とどれをとっても完璧な所作。
シャビ先生から讃えてもらえるレベルです。
ムヒタリアンはここからラストパスを出すも、サコーの長い足に阻まれてしまう。
このように終着点はバイタルエリアのムヒタリアンに設定されているドルトムント。
じゃあシンプルに中央へ圧縮すればいいのでは?
となるが、そうはさせてくれない。と、布石となるシーンがあった。
左から右に攻めるドルトムント
一度ベンダーに付けオリギを動かしてから、リターンを貰ったフンメルスは左足でロイスに楔を打ち込む(逆足とは思えない精度の。)
ロイスはすぐさま前を向いているヴァイグルへ落とす。
ロイス、ムヒタリアンを警戒し守備ブロックを中央へ凝縮するリヴァプール。
ドルトムントは中を固めるなら外を行くまで。である。
余裕を持った状態で前を向くヴァイグル。
ここでシュメルツァーの大外カットインが炸裂する。
右SBのクラインはロイスをケアするため中央に絞っている。
なおかつ完全な死角から斜めに走り込んでくるため対応は不可能。
(ゾーン殺しの代名詞ですね。)
パスを受け取るシュメルツァー
ノープレッシャーで複数の選択肢があるシュメルツァーはマイナス方向へのグラウンダーパスを選択。
今日一番の決定機はサコーが足を伸ばし、間一髪のシュートブロックを見せる。
というようにサイドを警戒すれば、バイタルエリアのムヒタリアンが無双。中を圧縮するとサイドのシュメルツァーに時間と余裕が生まれるという悪夢の二者択一が迫られ、明確な対策が見つけられず、あわやという場面もロブレン、サコーのビッグプレーもあり、水際で防ぎ続けるリヴァプール。
前半最後にカウンターでオリギが抜け出し1対1のシーンを作るも、 GKヴァイデンフェラーの好セーブに阻まれ、前半が終了。
勝ってるチームが逃れるようにハーフタイムへ突入するちょっと珍しい展開である。
*後半
後半開始早々、リヴァプールはセットプレーで失点します(後述)
後半から動く両チーム。
ドルトムントはドゥルム→ヌリシャヒン。
リヴァプールはヘンダーソン→ジョーアレン。
リヴァプールは負傷による交代だったことに対し、ドルトムントは選手の交代に伴いシステムも変更。
3列目はヌリシャヒン、ヴァイグルを並べる4−2−3−1にチェンジ。
プレーメーカーを2枚並べる事で更にポゼッションを高め、敵陣でのプレーする時間を増やそうというトゥヘルの魂胆であろう。
しかし、何度検証しても同じ考えに行き着く。これは悪手である。
その理由が2つ。まずは1つ目。
*トゥヘルが溺れた2つの策
右から左に攻めるドルトムント。
リヴァプールは後半からプレッシングの開始地点を3バック化するドルトムントの最終ラインにまで高める。
それにより意図的でないロングボールを蹴らされる機会が多くなるドルトムント。
ジルーやイガーロ、フェライニといったRAFと制空権を巡る戦いを常日頃強いられるリヴァプールにとって、空中でのオーバメヤンなど赤子どころか乳幼児と同様である。
*なぜドルトムントはロングボールを蹴らされる機会が増えたのか。
それは双方の中盤構成によるもので。
リヴァプールのアンカーとインサイドハーフによる逆三角形がガッチリと噛み合いマークする相手が見やすくなった事で、オリギ、ララーナ、コウチーニョは後ろを気にする事無く、攻めるようなプレッシングが敢行出来た訳です。
ヴァイグルがダメなら構造的に浮いてるシュメルツァーを使えば良いじゃない(マリー・アントワネット並の感想)
ということで、素直にシュメルツァーに展開すると
ここぞという時のクラインの早さは異常
早すぎワロツァwwwwwwwwwwwwwwwwwww
佐々木 寿人プロを思わせるクラインの高速ボール狩りである。
基本的には対面のロイスを見つつ、局面によって前へチャレンジする。
このチャレンジとステイの判断力がクラインはずば抜けて優秀ですよね。
対人の強さだけ見るとトッテナムのウォーカーだとか、万能性に焦点を当てるとバイエルンのラームに軍配が上がると思うのですが、純粋な右SBの総合力ならばクラインは間違いなく世界1ですよ。ええ。(初孫を見る目)
ということで、中盤構成の噛み合いと超人クラインのおかげでボールを保持する時間が長くなったリヴァプール。
それどころかシュメルツァーが上がった裏のスペースを使われ、同点どころか追加点のピンチを幾度となく作られ始めるドルトムント。
それでも機転を利かせたカストロのポジショニングやコンビネーション、個々の突破でボールを相手陣内まで運ぶドルトムント。
しかし、選手交代の悪手がセットオフェンスにまで及びます。
*改悪される遅効
ここで2つ目の悪手が現れます。
それは前半の右サイドで横幅を作っていたドゥルムが交代した事で、ムヒタリアンがバイタルエリアに入れない事態に陥ってしまった訳ですね。
SBのピスチェクが上がらずに横パスマシーンと化している為、存在感が薄れるムヒタリアン。ワイドでの1対1でもそれなりに輝けるムヒタリアンですが、この使い方は極めてナンセンスで横幅を作っているだけならば無視。無視タリアンです。
もちろんロイスやカストロがアンカー脇に絞るので前半のような形を作られますが、そこは役者の違いです。 決定的な違いを生み出す事が出来ず、交代で入ってきたヌリシャヒンも終止無難なパスに従事しており、やはりこの交代は悪手だよな思う次第です。
*バイタル王再び
ドゥルムの交代で主導権を失ったドルトムント。
しかし、戦術家トーマス・トゥヘルはすぐさま交代で流れを取り戻す。
その結果・・・
シュメルツァーとのコンビネーションで再び猛威を振るうムヒタリアン。
クラインと2人で挟み込めるよう、クロップもすぐさまミルナーを左サイドに回すがアルメニアの戦術兵器は止まらず、リヴァプールゴールに迫るもネットは揺らせなかった。(オーバメヤンの裏抜けが消えてしまったのが痛い)
ベンダー→ソクラテスのトゥヘル采配とフィルミーノやスタリッジを投入したクロップの采配が凄く対称的で面白いですね。
トゥヘルの交代策云々とは何の因果関係もないですが、リヴァプールはセットプレーで失点します。
*ドルトムントの同点弾を検証
ニアのボールを跳ね返す係(ストーン役)にはミルナーを。
ファーに来たボールにはクラインが対応。
一番危険な中央にはロブレン、オリギ、サコーを配置、ゾーンDFで守るリヴァプール。
ここからララーナ(黄丸)のところに走り込み、競り勝った豪華な同点弾をキャプテン・フンメルスが叩き込み8万人の雄叫びがスタジアムに響きます。
個人的な意見なのですが、僕はゾーンDFは嫌いです。
・空中戦の強い選手に対し、特定のマークが付けれない
・攻める側はボールを見ながら走り込んで競れる事に対し、守る側は人ではなく場所を最優先するのでどうしても競り負けやすい
・中央は密集を作れるが、他が数的不利な状況に陥りやすい(セカンドボールとか拾えず二次攻撃に繋げられる可能性が高い)
・フリック等のデザインプレーに弱い(印象がある)
のであんまり好きじゃないです。
ちなみにクロップは「あの場所にララーナを置いた私のミス」と発言。
確かにあの場所にはオリギあたりを置いて置いた方が結果的には好転していたかもしれないですが、フンメルスにだけマンマークをつけるゾーン×マンツーマンなら余裕で守れたでしょ。とも思ってしまいますよね。
サコー、ロブレン、ミルナーはニアと中央をゾーンで守る一方で、ケインにはクライン。アルデルヴァイレルトにはモレノ。ダイアーにはジャン。ソンフンミンにはララーナがマンマークするゾーン×マンツーマンを披露。
この場合、マンマークする選手の目的は競り勝つ事ではなく、思うように飛ばせないよう身体をぶつけたり、走るコースの遮断等です。クリアとかはゾーン組がやってくれますから。
実際トッテナム戦はセットプレーのピンチは少なかったですし、そのままドルトムントにも応用出来ないものかとも思います。不思議なチームですよね、リヴァプール。
ちなみにドルトムント戦後のストーク戦はマンツーマンで守ってました。
訳がわからないよ。
もう疲れたよ・・・パトラッシュ・・・
「これをフンメルスにやっておけば良かっただろ」って思っているリヴァプールファンは世界でも100万人以上居るでしょうが、その思いはクロップに届かず失点。
試合は1−1。
そのままスコアは動かずに試合終了。
* FT Borussia Dortmund 1 - 1 Liverpool
*感想
2nd legが楽しみです。