The Cavern Club

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Liverpool × Manchester United

ジャーメイン・デフォーの一閃に思いを馳せるフットボールジャンキーのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。

日本はすっかり秋空が広がり、季節の流れを感じますが、欧州各国ではリーグ戦が開幕し、CLのグループステージは近々、第3節が行われるそうです。

 

私の近況としましては、ヨーロップリーグ決勝のスーパージャッジにより昏睡状態に。

しかし14リットルの砂糖水により復活を遂げ、久しぶりにブログを更新しようと決めた次第。

という訳で、このカードを。

 

Liverpool × Manchester United

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今季1発目は英国ナショナルダービーをチョイス。

クロップ×モウリーニョの第一章です。

 

 

◇ Liverpool

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(ユナイテッド戦について)

クロップ「私が生きている限り、ノーマルな試合ではない。」

 

ユルゲン・クロップ体制の2シーズン目となるリヴァプール

夏の移籍市場ではGKにカリウス、CBにマティプ、クラヴァンのブンデスリーガ組の他にマネ、ワイナルドゥムが加入し、”指揮官の色”が出ているスカッドに。

また両インサイドハーフのララーナ、ワイナルドゥムは怪我の影響で先発から外れ、エムレジャン、コウチーニョが中盤に位置を取る並びに。

また注目のGKはロリス・カリウスを選出。

今季も開幕からアーセナルチェルシー、レスターを撃破する一方で、昇格組のバーンリーに完敗してしまう「らしさ」を隠せないレッズ。

宿敵を相手にヘビーメタルフットボールは響くのだろうか。

 

 

◆ Manchester United

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リヴァプール戦について)

モウリーニョ「特別な一戦だが、これが全てではない」

 

ジョゼ・モウリーニョマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任。

それに伴いポール・ポグバヘンリク・ムヒタリアン、エリック・バイリー、そしてズラタン・イブラヒモビッチを補強し、新顔を含む11人の武闘派がピッチへ。

天文学的な金額を投じ、各リーグのスター選手をマンチェスターの地に呼び込む様は、放映権バブルの象徴と言っても過言ではない。

デイビッド・モイーズルイス・ファン・ハールの3年間を払拭する為、ポルトガルの戦術家はオールド・トラッフォードにかつての熱気を取り戻す。

 

 

 

* 1st Half

試合開始直後からプレッシングを敢行する両チーム。

試合が落ち着くまではロングボールで陣地を回復し合う様相。

次第に主導権を握ったのはマンチェスターユナイテッドだった。

 

 

ユナイテッドのプレッシングは4-4-2の3ラインを形成。

前2枚はポグバとイブラヒモビッチが担当。

片方がボールマンにプレッシャーを、もう片方が中央に絞る。

中央を封鎖、ボールをサイドに誘導し、一気に狩るといった思惑だろう。

 

リヴァプールは両CB間にアンカーを落とし、擬似3バックで組み立てる。

しかし、ボールの保持には成功しているものの、中央は封鎖され思うような形でボールを前進させる事が出来ない状況が続く。

組織が機能不全を起こしている時、頼りになるのは個の力。

リヴァプールのクラックと言えば、コウチーニョと新加入のマネ

 

ここにボールを集めたいクロップとそれを許さないモウリーニョ

両指揮官の狙いが交錯する。

 

 

モウリーニョがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!

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クロップは4-4-2プレッシングに対し、リヴァプール就任直後から対応策として着手しているものにSBを高い位置に押し上げ、インサイドハーフを外側斜め後ろに移動させるインサイドハーフ落としがある。

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当時はジャンとミルナーが施行していた策ですが、今節はコウチーニョが担当。

ここを攻撃の起点とし、ポゼッションの安定化を計るリヴァプール

 

少し話が逸れるのですが、今シーズンのコウチーニョはタスクが少し増えています。

具体的に言うと、ポゼッションの安定化と自分達のゲームを作ること。

もっと具体的に言うと、相手FWの背後を制圧すると言う事。(後述)

 

しかし、あのモウリーニョが見逃すも無く。

 

 

右から左に攻めるリヴァプール

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ロブレン、マティプとの間にヘンダーソンを落とし、3対2の数的優位を作る。

 

ユナイテッドのポグバは中央のコースを切りながらロブレンに寄せ、イブラヒモビッチも中央に絞る事で中を圧縮、ボールをサイドへ誘導する。

 スペースに落ちて、ここからフリーになるコウチーニョ

 

 

それを阻む物が現れる。

f:id:jariise-0618:20161019141744p:plainボランチエレーラが飛び出して、マンマーク対応。

前進どころかコウチーニョはボールに触る事も出来ず、GKに戻すリヴァプール

 

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(ラインを飛び出してコウチーニョを潰すエレーラ)

 

インサイドハーフ落としの何が相手にとって困難なのかと言うと

事前に予測が出来ていなかった場合、複数の選択肢を提示させられる事だと思う。

 

・本来見るべきボランチマンマーク的に対応するべきなのか

・目の前に居る為、SHが飛び出してプレッシャーをかけるべきなのか

・ステイを選択して、ラインを乱さないことを徹底するべきか

などの中からアクションを瞬時に選ぶのはとても困難な作業だが、もしその策が予想できていたとしたら、迷う事無く対処できてしまう。

モウリーニョには容易な仕事だろう。

 

 

コウチーニョからの前進が阻まれるリヴァプール

中央を圧縮してくるようなら、サイドのマネから前進を試みる。

 

右から左に攻めるリヴァプール

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コウチーニョ→CB→CB→SB→WGというアウトサイドからボールを進める。

マネは一度中盤に下りてから、ボールを受ける為にサイドに流れる。

 

ユナイテッド、ヤングは本来見るべきSBのクラインを捨て、マネをケア。

 

マネは斜め前に走りながらボールを受け取ろうとする

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が、DFラインからSBのブリントが飛び出して対応。

 

プレッシンング時のブリントはマネの位置によって位置が変わる。

ワイドに位置を取ったり、中に絞ったり、低めに下りたりするマネの動きにもフレキシブルな守備を見せていた。

また、マネがビルドアップに関与する動きを見せた際は、どこまでも着いて行く訳ではなく、ヤングに受け渡す事でDFラインから離れすぎないようにしている場面も見られた。

おそらくブリントに求められたのはマネに「前を向かせない」こと。

サトミアマゾンよろしくの闘志全開でコウチーニョに向かって行くエレーラに対し、ブリントは果敢なインターセプトを狙う動き、ボールに触らせても1タッチで叩かせるようなアプローチなど状況に応じての柔軟な対応が目立った。

マンマーク的対応を促す事でコウチーニョ、マネを消す事に成功したモウリーニョ

 

 

リヴァプールは不本意なロングボールが増え、ボールはマンチェスターユナイテッドの時間が長くなるが、守備の完成度に比べ、攻撃は稚拙そのものだった。

リヴァプールは自陣ではコンパクトな4-5ブロックを組み、待ち構えた。

 

ユナイテッドの基本形としてイブラヒモビッチが最前線から中盤に下りる動きを攻撃のスタートにしているのだろうが、SHのヤング、ラッシュフォードとの距離感は遠く精巧な攻撃は見せられなかった。

守備のタスクが多すぎて、攻撃は整理出来なかった。これが偽らざる本音だろう。

ただ、ヤング、ラッシュフォードの縦突破→イブラヒモビッチの形が余りにも少なかった事はモウリーニョでも予想外だったと思う。

 

 

精力的なプレッシングで出鼻を挫く事に成功したユナイテッドだが、時間の経過と共に新たな戦いが勃発する。

コウチーニョが空けたスペースを巡る戦いだ。

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中盤のスペースを巡り、第2ラウンドが始まる。

 

 

*偽WGと6バックのユナイテッド

精力的なプレッシングを行っていたユナイテッドは、自陣までボールを運ばれると素直にリトリートを選択、4-4-2で守備ブロックを形成する。

これまで押されていたリヴァプールだが、あるポイントからユナイテッドを苦しめる時間が増える。

 

右から左に攻めるリヴァプール

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ロブレンからパスを受け取るコウチーニョ

 

下りるコウチーニョへプレッシャーをかけるエレーラ。

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すると、ここで左WGのフィルミーノが中盤へ下りる

 

下りてきたフィルミーノを捕まえにかかるポグバ

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ポグバから解放されたヘンダーソンはフリーになり、そのままエムレジャン→フィルミーノにボールを繋げる事に成功。

 

結果、フィルミーノはフリーで前を向き前進。

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ユナイテッドは自陣に撤退させられてしまう。

 

リヴァプールが狙っていたのは、プレッシングとリトリートの移行期間。

つまり(エレーラがコウチーニョを捕まえに行っているために発生してしまう)フェライニが中央で1ボランチになっている数秒間である。

 

そしてリヴァプール

フィルミーノの自在なポジショニングによって中盤を制圧する事に成功する。

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モウリーニョは左SBのブリントをマネに付けている。

右SBのバレンシアもフィルミーノに付けてしまうと、最終ラインの厚みが薄れてしまうことを危惧したのか、バレンシアはスペースを埋める事に従事していた。

スペースを泳ぐフィルミーノは、リヴァプールの中盤に時間と余裕を与える。

そして今季のコウチーニョに「それ」を与えるとどうなるのか。

答えとなる1シーンを。

 

右から左に攻めるリヴァプール

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リトリートへ移ろうとしているユナイテッド。

ユナイテッドの守備ブロック前でフリーのコウチーニョ

縦パスの狙いはライン間に絞ったフィルミーノ。

 

フィルミーノに鋭い縦パスが通る

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ユナイテッドのCBは一瞬遅れたタイミングで飛び出し、2列目(SH-SH)の目線がフィルミーノに固定された瞬間、バイタルエリアに走り込むコウチーニョ

 

フィルミーノからパスを受け取り、バイタルエリアで前を向くコウチーニョ

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前を向いたコウチーニョに加えサイドのマネ、スターリッジもゴール方向に走り込む。

この状況は最も再現性を高める必要があり、最もワクワクする状況だ。

 

リヴァプールにとって得点への最短距離は

より良い状況でコウチーニョにボールを渡す事である。

バルセロナにおけるメッシと同様、コウチーニョも同じ存在だ。

 

昨シーズンのコウチーニョは左WGで起用されていた。

ライン間でボールを受けようと試みるもボールが来ない(ボランチが縦パスを出せないので)→ワイドで受けて、カットインシュート!のパターンで攻撃を牽引していたものの、シュートに持ち込む為にDFを1枚を剥がさないといけないコウチーニョの負担が大きい。

またミドルシュートの跳ね返りは時としてカウンターのピンチを招いていた。

 

それを改善するため、クロップは3列目の位置までコウチーニョを下げ、走り込みながらバイタルエリアでボールを受ける仕事を増やしている。

ユナイテッドはこの位置から走り込まれると、1列目(ポグバ、イブラヒモビッチ)が着いて行かないと、構造上、コウチーニョがフリーになってしまう。

マッツァーリワトフォードならば、おそらくイガーロ、ディーニーのどちらかを守備に走らせてる対応も可能だろうが、ユナイテッドの2人では期待も出来なそうで。

 

狭い位置で受けて、前向いて、剥がしてよりも、フリーの状況でスペースに飛び込む方がコウチーニョの負担もリスクも少ないだろう。

とは言え、まだまだ以前のようなWG仕事の方が多い。

 

 

中盤での自由を得たフィルミーノの存在によりプレッシングを取りやめ、リトリートに切り替えるユナイテッド。

中央圧縮気味のユナイテッドはサイドからボールを前進させられるが

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モウリーニョ、意地の6バックで攻撃を跳ね返し続ける。

 

ユナイテッドのCBはバイリー、スモーリングとかいう悪魔超人。

90分間の存在感は凄まじい物があった。

特にビジャレアルからやってきたCBのバイリー。

楔のボールを潰すスピードとパワーは圧巻の一言で、14-15のオタメンディ、15-16のクリバリーに次いでブレイクしそうなアタック型CBだ。

 

クロスを跳ね返す、という点においては評価の高いユナイテッドの6バックだけども、攻守の均衡性と言う点で考えたら、堀之内 九一郎の言葉を借りるとクエスチョンマークである。

 

左から右に攻めるユナイテッド

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6バックの状態から中央でボールを奪い、ポグバに預けるフェライニ

両チームともにトランジションの質が問われるシーン。

 

ボールを収めるポグバ。

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その瞬間、アンカーのヘンダーソンがチャレンジ。

同時にクライン、ジャンがプレスバックし

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ボールを回収する。

 

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ボールに群がるリヴァプールの選手達(※イメージ図)

 

 

SHの位置を下げすぎると、最後の跳ね返しとボールへの圧力は期待出来る物の、回収地点が低くなり選手間の距離が遠く、カウンターの厚みを失ってしまうので総合的に考えると悪手だと思うんですよね。(押し上げる距離も長くなるし)

あのポグバ、イブラヒモビッチでさえキープが困難な状況なので、リターンが見込めず守備の為の守備になってしまう。

あれだとウォーキング◯ッドプレスによってボールを回収され続けてしまいます。陣地も回復できず、延々と守り続けるだけになってしまうので、やるとしても残り5分限定とかになってしまうよなぁ。

 

と思っていた所で前半が終了。

 

 

*2nd Half

ロッカールームへ堂々と戻るモウリーニョと駆け足で去ったクロップ。

両者は前半の45分に何を思い何を伝えたのか、答えは後半の45分で明らかとなる。

 

*クロップの問いとモウリーニョの答え

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先に動いたのはホームのノーマルワンだった。

前半の45分を経たクロップがモウリーニョに問いかける。

 

 

左から右に攻めるリヴァプール

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前半同様、ユナイテッドは4-4-2プレッシング+エレーラはコウチーニョを捕まえる。

リヴァプールはジャンをCB間に落として数的優位を作る。

ここからが前半と違うポイント。

 

寄せのあまいイブラヒモビッチの脇をロブレンがドリブル

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エレーラはコウチーニョを逃がして、ロブレンに寄せる。

ロブレンは食いついたエレーラのタイミングを外してコウチーニョに繋げる。

 

中盤で前を向くコウチーニョ

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コウチーニョは素早くフィルミーノに展開し前進、サイドからクロスを上げる。

も、逆SHのヤングがクリアし事なきを得るユナイテッド。

 

後半のリヴァプール、1つ目の策はCBの運ぶドリブルを仕掛ける。

前半はフィルミーノを下ろす事で中央での数的有利を確保していたが、その代わり、前線では数的(WGが一人少ない)不利な状況となっていた。

しかし、運ぶドリブルを使う事で、後半はフィルミーノを前に残す事が可能に。

もちろん奪われたときのリスクは大きいのだが、そうであったとしてもリスクをかけ、リターンを取りに行くのがホームチームの使命なのである。

 前から来るならドリブルで外すよ。というクロップの問い。

 

 

それに対するモウリーニョの答えは

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プレッシングを取り止めた6−3ブロックである。

プレッシングに行くから剥がされてピンチになる→ならば大人数で待ち構えていた方がリスクが低い、と言ったモウリーニョの回答だろう。

 

もはやブロックと呼んでいいのかわからない代物だが、これはブロックなのだ。

どちらかと言うと「リスクが大好きなお前らには付き合わん!」という、もう関わりたくない系の。Twitterにおけるブロックの意味合いの方が近そうだ。

1人娘の父親ばりに固いモウリーニョ、更に動くクロップ。

 

 

左から右に攻めるリヴァプール

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ボールを持つのはCBマティプ

スルスルッと持ち上がり、攻撃に加担し、そのまま縦パス。

 

右足インサイドで前を向いたエムレジャン

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パスを受け取り、ダブルタッチでエリア内に侵入。

強引にシュートを放つも、デヘアのファインセーブが光った。

 

ユナイテッドが前から当たっても、後ろへ退いても、リスクは承知の上でCBの運ぶドリブルを仕掛けるリヴァプール

モウリーニョはずっとずっと耐え忍ぶ。

 

 

シャルケ04から新加入したマティプは、シャルケ時代から運ぶドリブルと確かな足下の技術には凄く定評のあった選手で、クロップはドルトムント時代から目をつけていた模様(ライバルチームなので流石に難しかったとか)

また運べるCBを獲得したのはリヴァプールだけではない。

 

マンチェスター・シティジョン・ストーンズチェルシーダビド・ルイスを。

アーセナルはコシェルニーの持ち上がりが凄く上達しているし、トッテナムヤン・フェルトンゲントビー・アルデルヴァイレルトのコンビはプレミア随一だろう。

凄く今更感があるが、プレミアリーグにドリブルの上手なCBが集まっている。

世間とは逆に、攻撃センスの光るマクネアーを放出し、バイリーを獲得したユナイテッドは良い意味で凄くユナイテッドらしさを感じますね。

 

 

攻勢を緩めないリヴァプール

運ぶドリブルに続いて、もう2つ目の策はインサイドハーフのエリア内突撃

前半はユナイテッドのカウンターを警戒し、インサイドハーフ(主にエムレジャン)は攻守のバランスを取るような位置取りであったが更なるリスクを冒し、勝ち点3を狙いに行くクロップ。

後半60分にはスターリッジに変わりララーナを投入。

インサイドハーフにララーナ、左WGにコウチーニョ、CFにフィルミーノが並ぶ。

敵陣での圧力を高める。 

 

そして、クロップが狙いを定めたのは右SHのラッシュフォード。

前半からミルナーの絶え間ないスプリントに着いて行き、サイドでは単騎突破を仕掛け続けた若手選手を狙い撃ちにする。

SBミルナー、WGコウチーニョインサイドハーフのララーナ、更に右WGのマネまで逆サイドに絞り、フィルミーノまで雪崩れ込み様子の左サイド。

コウチーニョのゴラッソ未遂もあり、アンフィールドは最高潮の雰囲気に。

 

 

しかし、瞬時に最適解を見つけ出すモウリーニョ

疲れきったラッシュフォードに替え、キャプテンルーニーを投入する。

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かつてのイングランドの至宝は残り10分の守備固めとして起用。

絶句する程のモウリーニョイズム。

 

6-3で自陣に引きこもり続けるユナイテッド。

カウンターらしいカウンターはほとんど無かった。

それでも個の力で攻撃を成立させていたのは強力なアタッカーがいる証拠だろう。

 

更にクロップはオリギ、攻撃的SBモレーノを投入するもユナイテッドのゴールネットを揺らすことは出来ず、アンソニーテイラーの笛が鳴り試合終了。

 

 

Liverpool 0-0 Manchester United

 

*感想

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「特別な一戦だが、これが全てではない」

試合前の発言が、この試合の全てだと思いました。

ダービーだろうが何だろうがモウリーニョにとっては足枷でしかないもので、勝ち点1を取りに行く試合というカテゴリに分類されただけで。

 

スポナビライブの某解説者さんも「キャリックじゃないと」「マタがいないと攻撃の創造性が」みたいなことを連呼してました。ただ、その2人を出すならば、そもそもの戦術を変える必要があるのですが、それについては一切言及が無かったのが残念。

ヤング、ラッシュフォードのようにマタが毎回SBの脇まで戻れるのかなとか、キャリックコウチーニョに1発で剥がされるリスクなんかを考えた上での発言なのでしょうか。

 

ユナイテッドファン、OB、外部の声なんかは「ユナイテッドらしく行くべき」「守備的すぎる」等の批判が上がっているが、そんなものは試合に一切関係がなく、外部の声を無視し、戦術の話には耳を塞ぎ、OBの小言は鼻で笑いながらも、結果は勝ち取って行く。

相手がどれほどのリスクをかけようが、乗らないときは軽自動車でのナンパくらい誘いに乗らない男、ジョゼ・モウリーニョを招聘するというのはそういう事なんだと思った1戦でした。

再戦が楽しみです。