Liverpool x Manchester City
كل عام وأنيم بخير。
あっ
あけましておめでとうございます。
すみません。
つい私の第二言語であるモハメド・サラー語が出てしまいました。
新年早々深くお詫び申し上げكل عام وأنيم 。
ということで2018年もよろしくお願いいたします。
もうそろそろ2月に突入し、CLも再開する頃合いですが皆様どうお過ごしでしょうか。
本当は昨年ももっとブログを更新したかったのですが、原因不明の背中の痛みでちょっと更新できずにいましたが移籍期間が終了したからか治ったような気がするので、久しぶりに更新したいと思います。
Liverpool x Manchester City
今年の1本目はまずこの一戦と心に決めていました。
早速スターティングラインナップから。
Liverpool
Manchester City
リヴァプールはクライン、モレノ、ファンダイク、ヘンダーソン、スタリッジが欠場。
マンチェスターシティはメンディ、コンパニ、ジェズスが欠場。
と、互いに欠場選手を出しながらも、それなりのメンバーを出せるのが両チームの層の厚さを物語っています。
ここで試合に入る前に首位を独走するチームの紹介を。
New Cityzens
今年で2年目を迎えたペップのチーム。
初年度はボールを繋げず不安定で脆弱だったディフェンスラインを大刷新。
モナコからベンジャマン・メンディ、トッテナムからウォーカー、レアルマドリーからはダニーロを獲得し、一気にリーグトップクラスの陣容に変貌したマンチェスターシティ。
長い歴史と試行錯誤の礎を確認するために、ペップがこれまでに率いたバルセロナ、バイエルン、そして今期のマンチェスターシティを振り返りましょう。
Barcelona
・最終目的は「バイタルエリアのメッシに良いボールを届ける」
そのため、WGやSB、トップはバイタルエリアを広げる為のカカシとなる。
・守備ではロストしたボールを即時回収。
Bayern München
・主戦場はリベリ、ロッベン、コマン、ドウグラス・コスタ等のサイドを支配する
WGと大エースのレバンドフスキ。
・左右のSBはWGのパスコースを確保する為に中央へ絞る。
絞ったSBは失ったボールを奪還する為のボランチ化する。
Manchester City
・主役はデブライネとダビド・シルバ
片方のSB、主にデルフが中央に絞ることが多い。
ウォーカーが絞ったり、フェルナンジーニョが最終ラインに落ちることもある。
ハーフスペースのマンチェスターシティといったところでしょうか。
(ハーフスペースとはピッチを縦に5分割した際、外側から2番目の列)
シティ対策として中央に人数を集めるチームが多く、良い位置でボールを持てない。
サイドではゴールに遠く、中央では激しいプレッシャーに会う為に中間地点でのハーフスペースに着手したペップは、デブライネにいい状況でボールを渡すことから逆算し、チームを構築しているように思います。
個人的にはハーフスペースと言うよりも、SBーCBの間(ファン・ハールの言葉を借りるとチャンネルと言うみたいです)を攻略してるといった印象です。
そしてこの3チームに共通するのが失ったボールの即時回収。
バルサ時代はボールを失った直後のカウンター一発に沈むこと多かったが、SBを中央に絞らせるファルソラテラル(偽りのSB)でボールの保持率を更に向上させる。
マンシティではバイエルン時代のSB擬似ボランチをそのまま導入。
本来中盤であるデルフは想像以上の活躍を見せ、無敗のマンチェスターシティに貢献し、ここまでの成績は20勝2分とまさに首位を一人旅。
戦国時代と称されるプレミアリーグですが、ここまではグアルディオラのサクセスストーリーじゃねーか状態に突入したままリバプール戦を迎えます。
ペップ・グアルディオラとユルゲン・クロップの戦いはブンデスリーガ時代から既に始まっており、戦いの場をプレミアリーグに移しました。
戦争は第2章といったところです。
長くなりましたが、王者ペップと挑戦者クロップお互いの狙いにフォーカスを当てつつ試合を見ていきましょう。
*1st Half
試合開始直後から走る両チーム。
11人が連動し、センターバックまで激しい圧をかける様子は欧州コンペティションの決勝に近いものを感じました。
しばらくプレッシングは続き、次第にボールを持ち始めたのはマンチェスターシティ。
ボールを持つシティに対し、プレッシングを引き続き敢行するリバプール。
試合が動いたのはわずか10分。
クロップの戦術が完璧にアジャストした時間だった。
右から左に攻めるマンチェスターシティ
ボールを持つのはCBのオタメンディ
リヴァプールのCF、WGはペネルティエリアの幅に立ち、中央への警戒を強める。
シティは誘導されるような形でSBへと展開。
デルフに渡った瞬間、WGサラーが猛烈にアタック
それに連動した味方はボールサイドにスライド
シティは大きく蹴り出すしか選択肢がなくなり、あえなくボールロスト。
リヴァプールのSBに回収される形となった。
*クロップのプレッシング理論
リヴァプールは前線の6枚がプレッシング仕事を行っていた。
CF:アンカーを使わせないよう警戒し、サイドの限定を行う
また、アンカーはプレッシングに参加し、ロングボールにも備える。
そして違いが出るのは両WGである。
CBからSBに渡った瞬間、ボールサイドのWGは猛アタック。
また逆サイドのWGは中央へ絞り、ボールサイドの緊迫を高める。
シティのSBは相手に選ばされるように遠くへ蹴り出し、ボールの保持権を失っていきました。
ここでのポイントはWGは最初からマークするのではなく、ボールが渡ってからアタックを仕掛けるという点だ。
持つ前からプレッシャーをかけられるのと、ボールを持ってからマネ、サラーが襲いかかってくるのは保持者目線で言うと「圧」に大きな差がある。
動き、メカニズムとしてはいたってシンプルなものですが、アンフィールドでの声援を受けたリヴァプールの選手たちが行うと迫力は凄まじいものがありました。
こうして守備は狙い通りとなり形を作らせないリヴァプールと、思うように形が作れないマンチェスターシティ。
目まぐるしくボールが変わる中、ピッチを縦横無尽に走り回る20人。
ここでリヴァプールの攻撃とマンチェスターシティの守備も見ていきましょう。
左から右に攻めるリヴァプール
ボールを持つのはCBのロブレン
マンチェスターシティも果敢なプレッシング。
基本的な陣形としては4-4-2となり、前の2枚が両CBに。SH2枚がSBにそのままプレッシャーを与える形になる。
リヴァプールはここでボールを失うことを恐れ、GKカリウスに戻す。
ノープレッシャーのカリウスはシティの右サイドへ大きく蹴り出す。
競るのはCBのオタメンディ
これにアンカーとSBのデルフがアプローチをかける。
さらにプレスバックをかけた味方が連動し、前後からの挟撃→ボール奪取→高速カウンターの流れはペップシティでは1000万回と見た光景であろう。
前からプレッシングを行うことで、相手に大きく蹴らせてからカウンター攻撃に突入したいペップの想定通りの流れであろう。
が、想定の乖離が生まれるのはここからである。
ボールを持ったチェンバレンはフェルナンジーニョ、デルフの間を難なく突破。
シティはバイタルエリアを強襲され、CBは背走。
ノープレッシャーのチェンバレンは敵陣を更に前進し、右足を振り抜く。
GKエデルソンの手は届かずゴールネットを揺らす。1-0。
*進化する亜流とトランジション
フットボールの賢人が以前仰っていたのですが、フットボールには4つの局面が存在する。と。
1 自分たちがボールを保持している時
2 攻から守の切り替え時
3 守から攻の切り替え時
4 相手がボールを保持している時
こうなるわけですが、ペップのチームは共通して2の局面が強い。
次いで1が強く、3も強い。
しかし、4の局面は弱い。
それは哲学とメンバーの編成によるものですが、ペップは中盤のカードに守備で輝くような選手を置きません。
守備しかできない選手を置いてしまうと、その選手にとって不可能なプレーが発生した際に足枷となってしまい、そこでチームの限界点が決まってしまうからだと思います。
それならば、攻撃で光る選手たちを走らせ全員で守備をさせた方が、チームパフォーマンスの最高到達点が高いと考えているのではなかろうか、という感じです。
例えばアザールにトップスピードで攻撃を仕掛けられたら一溜まりもありません。
おそらくチャレンジする隙も与えられず失点することもあるでしょう。
しかし、トップスピードに乗る前。
まだボールが弾み、どちらのボールとも言えないような状況で激しいプレッシャーをかけると、あえなくボールを失う。
もしくは、ボールを失わないようにサイドに逃げるような展開、すなわちカウンターによるリスクの軽減につながることは容易に想像できると思います。
そしてそこに守備職人は必要がありません。
チーム11人が走り、4の局面の時間を減らす。
可能な限り、延々と1と2の局面を繰り返す。
これがペップが追い求める理想郷だと思います。
そして、これに影響された多くの監督が他でもないリヴァプールのクロップ。
グアルディオラの哲学を受け、その先に進んだ亜流をこの試合で披露します。
例えば、先ほどの局面。
チェンバレンが敵陣を前進し、シュートを振り抜きましたが、バカヨコやラムジーであればおそらくプレッシャーに負け、ボールを失っていたでしょう。
シルバ、エリクセンであればボールを味方に繋ぎ、遅攻に変わったと思います。
しかし、クロップが求めたのは、得点に関与できるインサイドハーフです。
クロップが突き進めた先は3の局面。
いわゆるポジティブトランジションと定義されるものです。
・自分で突破すべきもの
・周囲を使って打開すべきもの
・ボールの保持権を最優先にすべきもの
など更に細分化し、この試合に臨んだのかなと思っています。
もっと深めて言うと今節のリヴァプールのプランはセカンドボールの勝負です。
プレッシングに来たシティ前線に対し、陣形全体を間延びさせてからロングボール。
オタメンディ側の左サイドにボールを飛ばし、競り合ったボールをDFの裏に流すフリックか、そのまま競って落ちたボールを活用した擬似カウンター勝負に持ち込めるか、という点が勝負のカギですね。
狭いところで受けてターンしてみたいな点であれば、シティの中盤が圧勝するでしょうが、走って飛んでぶつかっての勝負であればリヴァプールの選手に軍配が上がります。
クロップがドルトムントのダフード、ライプツィヒのケイタ、シャルケ04のゴレツカなどを求めた理由が得点の1シーンに集約されていますね。
このシーン以外でもインサイドハーフが活躍する場面は訪れるので、そこを見てみましょう。
視点をシティ視点に戻します。
セカンドボールをチェンバレンに拾われるまでは想定内だったものの、ここで最悪な対処をしたのがSBのデルフです。
ボール保持者に強烈なプレッシャーをかけるわけでもなく、前進したチェンバレンよりも本来見るべきサラーの方向に走り出し、バイタルエリア強襲を許しています。
優先順位としては中央>>>>>>>>>>>外なので、明確な失敗です。
そしてデルフの対応に困ったのがCBオタメンディ。
チェンバレンかサラーの2択を迫られ、どっちつかずの対応で失点。
バレンシア時代のオタメンディならスライディングで勝負していたと思いますが、この局面でオタメンディに大きな非は見られません。多分。
まずは初期対応を誤ったデルフが事の発端だと思います。
バイエルンのアラバであれば、イエロー覚悟で潰していた局面だと思います。
ここで不運なのが、デルフはミスを挽回することもできずに負傷交代してしまうんですね。残念です。ピッチから出るふ。
*ハーフコートのシティとその同点弾
更に追加点を狙うリヴァプールと追いつきたいマンチェスターシティ
リヴァプールのプレッシングを解決する策は数的優位である。
しかし、シティはいつものようにボールを回すもリヴァプールの6人から相当なプレッシャーを受け、いつものパス循環に淀みが出てしまう。
1つのパスミスが即失点に繋がる相手では尚更だ。
シティが見出した道はGKエデルソンのロングフィードだった。
正確な高速フィードが発射され、中央に密集するリヴァプールは手薄なサイドから前進される。
敵陣に侵入する機会が多くなるシティと守るリヴァプール。
試合は別の局面となる。
停車するバスを破壊する今期のマンチェスターシティでよく見られる形として
① 相手の1トップ脇を使い、CBが低く降りるトップへクサビを入れる
② トップはダイレクトで落とす(ハーフスペースか、前を向いている味方)
③ ここから空いてる大外なり、コンビネーションプレーでゴールに迫る
ってやり方が散見されます。
両WGのサネとスターリングは大きく広がることで
相手SB、SHを引きつけて横幅を確保。
また、安全なパスコース役としてポジショニングをとる。
コンビネーションプレーで有機的に動けるスターリングと、爆発的な個人技で結果を出すサネ、タイプの違う2人が各サイドにいるというのは、グアルディオラらしさがありますね。
これに対し、リヴァプールはボールサイドに寄ってブロックの形成。
ハーフスペースに立つシティの選手をインサイドハーフが捕まえ、あそこのスペースを使われないよう何度も練習したんだなっていう感じですね。
さらに目立ったのは1トップへの縦パスに対し、リヴァプールのCBが積極的な迎撃守備を見せていたことですね。
縦パスに対して触らせなければ、前を向いた見方を使われることはないという見方での守備ですね。
中央を締めるリヴァプールとサイドから展開したいマンシティ。
次の二点目はどちらにでも転びそう。
強いて言うとリヴァプールのカウンターの方が先に決まりそうなシーンが多かったように見られました。
が、次のゴールは水色の戦士から生まれた。
右から左に攻めるマンシティ
ボールサイドに寄ることで対応するリヴァプール。
マンシティはここから一度下げ、左サイドのWGサネにサイドチェンジ
右SBのゴメスは1人、急いでスライド。
シンプルなボールを処理 するだけであったが、いかにも怪しい体の向きで対応した結果、落下地点を誤りサネにペナルティエリア侵入を許してしまう。
いわゆるやらかしす時って、大概マーカーとボールを同一視野に入れられずどっちつかずな対応になり最終的にこうなりますよね。
ドリブルで前進したサネに対し、カバーに入ったマティプは中央を切ってニアに誘導。
一度は抜かれたゴメスも舞い戻り、ファーの選択肢を消すように立ちふさがるも、
迷いなく放ったシュートはアウェイチームの歓声を招いた。1-1。
大外→大外からWGの個人技で得点ってバルサ時代のペップでは考えられない形での得点で同点に追いついたマンチェスターシティ。
バイエルンから持ち帰った財産は擬似ボランチだけではなかったんですね。
・サイド攻撃が主な攻撃手段
・暴力的個人技を持ち合わせるWG
・凡ミスが多い相手DF陣
という複数の条件が揃っていたので割と必然にも見えますね。
各サイドに異なるタイプを配置することで生まれた得点ですね。
対するリヴァプール、初っ端のゴメスのミスも大きく失点に関与している感がありますが、マティプ、ゴメスは「外へ限定」という部分で共通認識があったように思えます。
が、GKのカリウスは予想すらできずに失点したように見えました。
サネのシュートには文句のつけようもないのですが、この状況下で天井でもないニアのシュートをあっさりと決められてしまうGKではリヴァプールのリーグ優勝は遠いな。と思ってしまう1シーンでした。
と、ここで前半が終了。
波乱のありそうな後半に進みます。
*変化するシティと変化しないリヴァプール
左から右に攻めるマンチェスターシティ
ウォーカーが前半とは変わって、3CBのように振る舞うようになります。
右CBの位置でマネを食いつかせた上で縦パス。
マネは自分の背後をデブライネに使われてしまいます。
デブライネは遅れて飛び込むワイナルドゥムを外して、中央へ。
ボールを受けたフェルナンジーニョはようやくノープレッシャーで前を向くことができます。
ビルドアップを変えてきたシティにより、マネは守備のルールを見失ってしまいます。
従来通りサイドを見れば良いのか、ウォーカーについていくのが好ましいのか。
どっちつかずな対応を迫られるリヴァプールはプレッシングでの優位性が少しずつ見られなくなりました。
これでシティもボールを持てるようになったのですが、ビルドアップに枚数を割きすぎる余り、前線での数的不利を受け、ボールを失ってしまうシーンも見受けられました。
とはいえ、リヴァプールを自陣から追い出すことに成功したシティ。
ハーフタイムの修正から徐々にボールを握りる時間を延ばし、いつものようなハーフコート攻撃から追加点が見られると思ったのですが、今の時間から80分までは一方的な試合となりました。
左から右に攻めるマンチェスターシティ
1トップ脇のウォーカーがロングボールを選択
スターリングへ放ったロングボールはロバートソンに跳ね返されます。
ボールはデブライネとチェンバレンの元へ転がり、イーブンに。
どちらとも言えないボール争いにワイナルドゥムも参戦
前後からボールを挟みこんでボールを刈りとるリヴァプール。
ここからチェンバレンが前進。
更に前進。
スペースに出されたボールはストーンズが簡単に処理をすると思いきや、死角から現れたフィルミーノがボールを奪取。
エデルソンの手をふんわりと越えるショットはシティを追い詰める。2-1。
最前線のブラジル人はユニフォームを脱ぎ感情を爆発させた。
アンフィールドはこの日、最高の雰囲気に包まれる。
ゴールシーン、目を惹かれたのはフィルミーノの腕の使い方。
背後から綺麗に半身をボールと体に入れることでクリーンに奪取し、左手1本でストーンズを静止し、冷静なループショット。
こういう体とか手の使い方はネイマールとかもすごく上手。
ブラジル人は生まれた瞬間からこういうDNAでも流れているのでしょうか。
なおグレートブリテン人
突き放されたシティ、実は不可解な点がいくつもありました。
まずはこのシーン
問題は最後尾のウォーカーがロングボールを放ところから始まるのですが。
ペップのチームが、こんな簡単にボールを相手に明け渡してはいけません。
何を望んで、どういう結果になると思ってこれを選択したのかはウォーカーにしかわかりませんが、結果として間違いなく最悪の一手。
更に言うと、こういう長いボールを蹴る時はもっと相手をボールサイドに引き寄せてから対角線に。です。
ストレートなボールは簡単に拾われ、一瞬にしてカウンターのピンチを招きます。
またインサイドハーフのチェンバレンに数十mの前進を許しています。今度はドリブル開始からスルーパスの瞬間まで何のプレッシャーもかかっていません。
1失点目と少し似た形です。
次は、ストーンズ。
SNSで親の仇のような扱いを受けそうな失点の形であるが、ゴメスのクリアボール処理同様、ボールと抑えるべきフィルミーノが同一視野に収まってないですよね。
人間の機能上、これは見えなくて当然です。
であれば、手を使うのはどうでしょうか?
相手を押すのではなく。見れない範囲のものは手を伸ばして触覚、圧覚に頼った認識処理を行えれば、この失点に限っては防げたような気がしないでもないです。
結果論だと言ってしまえば、それまでですが。
さすがにあれくらいは処理してくれるだろって気持ちもわかりますが、あの状況で備えておけば、防げた可能性もあるだけに非常に残念です。
簡潔にまとめると
・ネガティブトランジションの消失
・安直なボールロスト
・ノーカバー、ノーチャレンジ
と、本当にペップのチームらしからぬ失点。
しかし、この1点は悪夢の始まりでしかなく、ここから10分の間にマンチェスターシティは2点を決められてしまいます。
オタメンディ、フェルナンジーニョ、エデルソンが様々な形でボールを失い様々な形で失点します。
リヴァプールのプレッシングも、マンチェスターシティのショートパスをつないでいくスタイルも、連動したプレッシングも、マンチェスターシティのDF陣が背走する姿も、何度も広大なスペースを駆け上がるリヴァプールの前線も全く変わりはなかった。
たまにデブライネが個人技での打開を試みるもゴールには至らず、スコアだけが無慈悲に動いていきます。
こうしてマンチェスターシティは4失点を喫しました。
ペップが就任してからオタメンディもデルフもフェルナンジーニョも選手として一段階上に成長した感じはありますが、良い言い方をするとまだ完成されたわけでないということですね。
悪い言い方をするとかつてのピケやラーム、ブスケッツほどの判断力、プレッシング耐性はついておらずこういう結果になってしまいました。
いくら何でもそんなには急成長はしませんよね。
勝敗は大方決したように見えましたが、ここからプレミア王者が本来の姿を見せます。
シティの2点目は83分。
敵陣でボールを持ったギュンドアンがミルナーを交わし、アグエロとコンビネーションプレーでペナルティエリア内に侵入し、シュート。
こぼれたボールをベルナルドシルバが蹴り込み、2点差に。
ハーフコート攻撃ではやはり質の高いマンチェスターシティの選手達。
ノーチャンスのような失点。簡単に飛び込んだミルナーくらいしか言うところもなくトップクラスのアタッカー達にバイタルエリアを明け渡すと、こうもシンプルに点を取られるんだと、教訓のような一連の流れでした。
Shark teamは止まらない。90分。
左から右に攻めるマンチェスターシティ。
SBウォーカーからCH-SH-CB-SBのエリアに走りながらパスを受けるサネ。
ここからCBロブレンのプレッシャーを受けながらも強引に前を向くサネ。
サネは逆サイド大外で待つアグエロに展開
アグエロはここからふんわりとしたクロスを上げる
ギュンドアンが冷静に足で流し込み3点目。
残り数分にして勝ち点の持ち出しを図るマンチェスターシティ。
試合最終盤にしてこの迫力を出せるのは流石の一言。
またも得点に大きく関与したのはWGのサネ。
個で前を向けるWGの大事さがわかりますね。
特に逆サイドのWGが仕事できなかっただけに、個を見せるサネはこの試合、圧倒的な存在感を示していました。
一方リヴァプールはらしさ全開の失点の形である。
守備8人に対し、サネ、アグエロ、ギュンドアン3人に何の抵抗もできずに決められてしまう。
特に目立ったのはロブレン。
サネにターンを許し、アグエロのクロスを空振り。
特にクロスのスピードが早かったわけでも、処理の態勢が難しいわけでも無いように見えるが、ロブレンならまあ・・・で納得できてしまうのはリヴァプールファン特有の高速処理能力であると言えるだろう。
この試合、筋の過度緊張で欠場したフェンダイクですが、「ロブレンを見なくても済む」という希望を生み出しただけでも7500万ポンドを投資した価値は大いにありそうです。
最後、勢いの止まらないマンチェスターシティにラストチャンスが訪れる。
右サイドからFKのチャンスを得る。
デブライネの高速クロスに合わせたアグエロのヘッドは、ポストの脇を過ぎていく。
ここでタイムアップ。
リーグ戦無敗のマンチェスターシティを破ったのはリヴァプールでした。
*感想
間違いなく17-18プレミアリーグにおけるベストゲームでした。
英国のナショナルダービーと言っても過言では無い一戦。
個人的には今シーズンだけでなく後世にも語り継がれるゲームだとも思っています。
ペップの高速ネガティブトランジションよりも、早く強くゴールに関われるインサイドハーフを活用したポジティブトランジションこそが最大の対抗策である。ということを全世界に見せた90分は勝ち点3以上に大きなものがあったとも思います。
このゲームは世界中のチームが拝見したと思います。
それこそCLで激突するポルト、バーゼルはもちろん、パリやバルセロナも見て対策を練ってくることでしょう。欧州のフットボールシーンを熱くさせる1戦だったのは間違いないので、ヨーロッパのビッグイヤーをかけた戦いは更に更に興味深く目を奪われるものとなりそうです。
ペップのライバルといえば以前はモウリーニョでしたが、これからの好敵手はクロップ、そしてトッテナムのポチェッティーノになると予想します。
自分の理想形はもちろん持っており、なおかつ相手を分析し、対策を具現化できる指揮官が時代の最先端であると思います。
ただ、そんなものは明日にでも変わっている可能性があるのがフットボールの面白いところですよね。
それでは今節はこの辺で
كل عام وأنيم بخير。